損害賠償請求

損害賠償請求−過失相殺

損害の公平な分担という考えから、損害賠償の請求額を算定する際に被害を受けた側にも過失責任がある場合には請求者の過失を考慮して賠償責任・賠償額を定めることをいいます。
この過失相殺は、債務不履行に基づく損害賠償と不法行為に基づく損害賠償とではその効果は異なります。

債務不履行による損害賠償請求の場合

契約をしたにも関わらず、契約者の一方が契約義務を果たさなかった結果、契約の相手が損害を負ってしまった場合、被害を被った側が契約を守らなかった相手に対して損害賠償を請求する権利が発生します。 これを債務不履行に基づく損害賠償請求といいます。
例えば、食材の納入業者と飲食店の経営者の間で食材の売買契約を行い、食材の納品は明日の朝5時〜朝7時の間に行うという内容で契約が交わしました。しかし、業者が実際に納品を行なったのが朝8時と1時間遅れ(履行遅滞)であったため、飲食店側は当日の料理の仕込みが間に合わずに店を開店することができませんでした。飲食店側は納入業者に対しその日一日で売上げる予定であった売上げ金30万円の損害賠償を求めました。
この納品が遅れた原因が配達用の自動車の故障など業者の一方的な事情によるものであった場合には飲食店側には何の落ち度もないので過失相殺は認められない可能性が高くなります。
しかし、業者が約束通り朝5時30分に飲食店へ納品に行ったにも関わらず、飲食店の責任者が遅刻をして店舗に到着したのが6時過ぎであったために業者は納品ができず、店先で暫く待ったが従業員が来る様子も無いため、他にも配達予定があった業者はそれを済ませた後、再度納品に来ようとその場を離れたが、再度配達に来る途中で渋滞に遭遇したために結果納品が遅れてしまったなど、飲食店側が納品に指定した時間帯に店で待機しておれば納品は問題なく完了したと推測される場合には飲食店側の過失も認められる可能性が高くなります。
極端な例では、飲食店側が嫌がらせのために故意に不在にしたなどの場合には業者は賠償責任は免れる可能性が高くなります。

交通事故の場合

過失割合という言葉は交通事故で良く耳にする言葉です。
交通事故の場合は、事故を起こした時の細かい状況や要素によって過失の割合も少しずつ変わってきますので、似たような事故であっても過失割合が全く違う場合も見られます。
交通事故の過失割合は示談交渉の場合では警察が作成する供述調書や実況見分調書を基に当事者の話などを聞いた上で過失相殺認定基準表と照らし合わせて過失の割合を判断します。
また民事裁判や刑事裁判になった場合も警察が作成する調書が重要視されるので、事実と違う箇所が少しでもあれば記名・捺印をしないことが大切です。特に交通事故で頭が混乱していて内容を良く理解しないまま記名・捺印してしまっても、本人が認めたものとして判断されますので注意が必要です。

不法行為に基づく損害賠償請求の場合

違法に他人の権利を侵害する行為で相手に損害を与えた場合には、不法行為が成立し被害を受けた側は損害賠償請求を行う権利が発生します。
不法行為に基づく損害賠償にも被害者に過失があった場合には過失相殺が認められる場合がありますが、債務不履行などの場合と異なり被害者側に重大な過失があった場合であっても加害者はその責任を免れられないこと、また被害者の過失についても必ず考慮されるとは限らないこと(裁判所の裁量により)です。